「知られること」の認識論 6
哲学・思想の生産現場ではそう目まぐるしい変化は起きるものではないのです。
哲学的営為は元来、そのときどきの社会状況や文化の位相を逐一ことこまかに映しだすことを任務としていません。
また、そんなに小回りのきくものではないからです。
発想法の時代性
時代の影を宿すことは哲学・思想にとって不名誉なことではなく、むしろ好ましいことです。
時代の鼓動を的確にキャッチせぬ思惟は、超然としているようでいてその実何の力も持ちえぬものです。
「時代精神」はまさに時代とともにあります。
高度に発展した現代商品経済が一般的な知の動向のみならず、もっと深遠な認識営為に対しても大きな影を落としていることは、たとえば、わが国におけるあの高度経済成長がどのようなイフェクト(影響・効果)を及ぼしたかをみれば一目瞭然です。
高度経済成長をはさむ前後の時期にそれぞれ刊行された哲学講座のたぐいを比較検討してみるのも手っ取り早い一法でしょう。
« 鑑定書 | メイン | 「知られること」の認識論 7 »